静岡のできごと 196

5月10日 読売新聞

中部電力が9日、静岡県の浜岡原子力発電所の全面停止を決めた。菅首相が6日に行った停止要請を受け入れた結果である。浜岡原発は、今後30年以内に87%の確率で起きるとされる「東海地震」の想定震源域の真ん中にある。日本の大動脈である東海道新幹線や東名高速道路にも近い。地震や津波で東京電力福島第一原発のような大事故を起こした場合、深刻な事態を招きかねないだけに、やむを得ない選択だ。だが、首相の要請は事前調整もなく、あまりにも唐突だった。国のエネルギー戦略の柱である原発の将来を左右する政策を提起したのに、政府として正式な決定も行っていない。単なる行政上の要請では、株主などに責任を負う民間企業として判断に迷う事態だろう。

中部電力が2度にわたって取締役会を開いた末に受け入れたことを見ても、苦渋の決断だった。今回の首相要請は、政治主導のあり方としても、大きな課題を残したといえよう。浜岡原発には1~5号機がある。うち1、2号機はすでに廃炉が決まっている。3号機は定期点検により一時停止中で、4、5号機だけが運転中だ。受け入れに当たって中部電力が最も心配したのが、夏の電力需要をどう満たすかだった。3~5号機の出力は合計360万キロ・ワットある。それを失うと、供給能力は夏場の需要をギリギリ満たす程度に落ち込む。停電を防ぐには、火力発電の増強などで対応するしかない。

中部電力が、火力発電用の燃料の確保にめどをつけた上で停止を受け入れたのは妥当である。首相要請の問題点はまだある。停止期間に言及していなかったため、浜岡原発を完全に廃止せざるを得なくなるのではないか、との懸念が中部電力には強かった。他の電力会社が運営する原発についても、いずれ停止を求められる恐れがあるとの不安が、電力各社に広がった。あわてた政府は、浜岡原発の新しい地震・津波対策が完成するまでの2~3年との見解を示し、その旨、中部電力に伝えた。菅首相も、「浜岡は特別なケース」と述べ、他の原発への波及をあとで打ち消した。首相の要請が説明不足だったことは否定できまい。大いに反省を求めたい。

あまりにも唐突…あのおっさんはいつもそうですよ。先のことなどまるで考えず、出たとこ勝負しかできない人間ですからね。とは言え、福島第一原発の被害は甚大でしたし、近い将来、東海地震が発生したら浜岡原発もこれまたとんでもない被害を受けることは容易に想像できますからね。しかも震源地の真ん中に原発がありますから、もし東日本大震災に匹敵する規模だとすれば、福島第一原発をはるかに超える被害になりそうな気もします。チェルノブイリでは今現在も近隣への立ち入りはできない状態です。浜岡原発周辺の方も下手をするとそうなってしまうかもしれません。とは言え…原発は私たちが日常生活を送る上で、必要なものであるということもまた事実なんですよね。


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